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Romance夢紀行

Romance夢紀行

Archangel's War/ナリーニ・シン あらすじ

2019.11.6 更新

※ ※ ※ ネタバレあります ※ ※ ※ 
辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、内容が間違っていても笑って読み流せる方だけ読んでくださいね

ドミトリは、ラファエル不在のNYを見守っています。大天使イライジャが味方してくれ、NYの公園ではピューマが寛いでいます。血迷ったヴァンパイアはラファエルの忠実な部下である天使のアンドレアスが首を切り落とし、杭に突き刺し、街角で晒したことではっきりしたメッセージが伝わったようです。有力な天使たちの何名かがドミトリに挑戦してきましたが退けました。またもやドミトリがラファエルの立場を狙っているのではないかといわれ、ドミトリは不快に思っています。友達としての絆をもち、部下として、ラファエルのセカンドという立場に満足しているドミトリの気持ちを理解しているオナーが、苛立つドミトリをなだめていました。大天使の強大な力による恐怖でしか、不死の者たちを永遠に押しとどめることはできません。鼓動がなく死んだように横たわるラファエルと繭に包まれたエレナの二人がいる大邸宅を、ドミトリは見つめていました。

リージョンの隊長プライマリーや館近くにいた天使たちがラファエルからの心話を受け取ります。「みんな、ここから離れるのだ!」どこまで距離を取ればよいのかはっきりしないものの、リージョンたちや天使たちは邸宅からすぐに飛び立ち、邸宅そばの道路を通る車の運転手のヴァンパイアや人間をかかえ、その場からできるだけ遠ざかります。またイリウムは邸宅に飛び込んで中のスタッフたちをかかえてハイスピードで現地を離れると、邸内から光の爆発が起こりました。その爆発で飛んできた破片をリージョンたちは掴んでいます。無事に避難したかに見えたイリウムでしたが、空中で突然固まったかと思うと、黄金色の光があふれ、光がさく裂しました。

ラファエルに移植したエレナの人間の心臓がパワーの爆発とともに破裂してしまいました。自身の血で癒えるプロセスが進んでいるものの、思い通りにならない身体で無理やり目をあけます。エレナとは一緒に同じ夢をみていましたが、あれからどのくらいの時間が経ったのかわかりません。キャスケードのパワーにエレナをエレナたらしめている記憶や心を押しつぶされないよう、ラファエルの心臓のかけらを与えることで彼女自身の心を守ったつもりでしたが、エレナが包まれていたさなぎはあまりにも小さく、身動きしないエレナの周りにはさなぎの殻が散らばっていています。早く覚醒させすぎて、十分に組織が再生されないままさなぎから孵してしまったのだろうか、エレナ自身が保たれていないなら、彼女と昔した約束を守って彼女の抜け殻を処分しなくてはならない。でもまずは彼女自身がいるのか確認しなくては。私のエレナ。心話に反応しないエレナに、声でも呼びかけます。鈍いまばたきの反応がありますが、目は不死者の銀色に変化していました。心がなくなってしまって、力の器になってしまったのか。身動きを始める彼女を見ていると、母親のおなかにいる胎児のように体を丸めていたようで、彼女がゆっくりと足を延ばすと手や長い足などは元のままに再生されていることがわかってきます。ただ頬骨や肋骨などが浮き上がって見えるほど肉が落ちています。ラファエルには彼女自身が戻ってきているなら、それは問題ないのです。再度呼びかけると、エレナが反応してラファエルのほうへと手を伸ばしてきました。

エレナの背中から翼がなくなっていましたが、ラファエルが指を滑らすと凹凸を感じ、見てみると元の翼が色はそのままに背中に入れ墨のように現れていました。入れ墨を触られると実際の翼に触られたような感じで、翼を羽ばたかせたくて疼きをかんじているようです。エレナが初めて天使として生まれ変わった時には、骨組みが現れて、すぐ大人の羽が生えてきたので、前回とは違うようです。

また自分から光が出ているのをみて、暗闇の中で光るハンターなんてと言って、テレビショーにいくつか出たらかなりのお金になるかもねなどと自嘲するエレナをみてラファエルが彼女自身が戻ってきたことを確信します。

エレナのなかに埋め込まれたラファエルの心臓の一部は、エレナに天使の炎を10回つくる能力を生んだようです。キャスケードのパワーは、混乱をもたらす力そのものをもたらそうとしてエレナ自身を心のないジェネレーターのようなものにしようとしていましたが、ラファエルとエレナが抵抗したことで、回避できたのかと思ったところで、ラファエルから金色のパワーがあふれ始めました。

パワーの増幅が始まって、ラファエル自身の気配の味わいはかわらないのに、かつてないほどの冷たさをエレナは感じました。ラファエルのパワーは領土の隅々まで感じ取れるほどで、もはや大天使よりもさらに上の階層の生き物、神のレベルに達しているようでしたが、エレナがくちづけをして、彼自身を呼び戻します。

ラファエルは激怒していました。エレナ自身がこれほどまでに傷ついていること、彼自身が彼女の翼を切り落とさなければならなかったことに。この怒りを自身のなかにとどめておくことができないラファエルの気持ちを感じとり、エレナはますますキスを深めることで、彼女自身を彼の精神にとどめ、正気をよび戻しました。

我に返ったラファエルはエレナの骨の浮き出たあばらを指先にかんじて「君には食べ物が必要だ」というと、エレナが笑い出します。エレナの笑いがラファエルの恐れをなだめてくれました。

ラファエルがキスをしていたエレナを抱いて上を向くと、青空が見えました。彼らは深い穴のなかにいるようでした。パワーの爆発ですべてが溶けてしまったようです。エレナの武器も、ラファエルの琥珀の指輪も、エレナの琥珀も、貴重な装飾品も、アオドハンの描いてくれた絵画も、温室も。悲しむエレナに、もっと大きな温室を作ろう、アオドハンはより素晴らしい絵を描いてくれるだろうと慰めます。さらにエレナが不安になったのは、こんな事態になったなら、すぐにイリウムやサラが様子を見てくれるはずなのに、ひょっとしたら自分が生き残るために奮闘していたパワーに巻き込まれて街を破壊してしまったのだろうか、モンゴメリやシブヤは逃げ切れただろうか。それとももう知り合いはいなくなってしまっているくらい長い時間が経っているのだろうかということでした。ラファエルは壁から琥珀を取り出してみせました。琥珀は木が化石化したものですが、爆発したパワーはなんらかの効果を促進させる力があったのでしょうか。キャスケードはまるで単純な思考しかなく、自分の思い通りに動かしたいようにみえるとラファエルが分析していました。エレナがアーチャーを追跡していたときに感じた妨害する意思も、ひょっとしたらキャスケードの仕業なのかもしれません。

リージョンたちやブルーベルはいた場所から跳ね飛ばされて川に落ちましたが、壊滅的なダメージは避けることが出来ました。飛べるようになると、本宅があった場所に近づいていきますが、そこには建物はなく、溶岩の池ができていて、熱で羽が焦げそうになります。何か思い出したか?とブルーベルに聞かれたプライマリーですが、カッサンドラ とだけ答えます。

カッサンドラは再び眠りについたようですが、その過程で意識が少し残っていて、彼女が彼らを守ってくれたのかもしれないとラファエルは推測します。

穴を出ようと立ち上がると、エレナの足は体重を支えることができず、ラファエルが支えましたが、頭にきている様子です。キャスケードに負けないという希望を持ちましょう、とエレナに言われ、希望を持とう、といって飛び立ちます。エレナの胸には、この穴からみえる景色がどうなっているのかという恐れもありましたが、一緒に、とラファエルに伝えると、いついつまでも、と行ってきました。

穴から出てみると周囲には人の気配がありません。ラファエルの本宅は跡形もなく、周囲の木などがなぎ倒されていますが、かなり距離のある隣の屋敷は吹き飛ばされた窓のほかは無事のようです。ラファエルとエレナは裸なのでグラマーで姿を隠しています。イリウムとプライマリーが空中で話し合っているのを見つけ、ラファエルは心話を送ります。自分たちは無事なのでタワーで会おうと。イリウムは溶岩の池を埋めますかと聞きますが、ラファエルとエレナ以外にキャスケードの力がどう反応するかわからないので、警備するだけでよいと指示します。また他のセブンにも無事であることを連絡します。キャリエーンは一番優秀な飛行隊の戦士を派遣してくれているとジェイソンが報告し、彼らと一緒に国境を巡回警備するように、今回のこの動きでなにか干渉があるかもしれないからと指示します。

帰宅する途中で、空中ではコンドル、家の屋根にはピューマが寛いでいるのをみて、アフリカ大陸の大天使であるイライジャがラファエルの領土を守るのに協力していてくれたことを察します。

タワーに戻ると、ドミトリとヴェノムがバルコニーで待ち構えていますが、ラファエルはエレナをつれて自室のバルコニーに着地します。呼び寄せられた治療師のケルとニーシャが部屋で待機していましたが、まずはエレナをベッドに降ろし、彼女がシーツで身体を覆い、エレナの指図でラファエルがズボンを身に着けてから、グラマーをさげて姿を現します。

すぐに二人が診察を始めると、モンゴメリがトレイを持って現れました。トレイをもつ手が震えています。ラファエルは屋敷を壊してしまってすまないといい、モンゴメリを初めて抱きしめます。モンゴメリも抱きしめ返し、離れた時にはもういつもの彼でした。料理人のシブヤは早速エレナの好物を作ってくれているようです。

エレナの身体はどんどんと不死者へ変化していっていて、燃料を必要としているようです。ケルは高栄養の点滴を両腕から入れる判断を下しますが、8パック目が終わったところで、もうこれ以上は一度の量としては身体が受け付けなくなってきたとエレナが言って、おしまいにすることにします。まだ痩せている状態はかわりませんが、骨と皮という状態からやせ型というくらいにまで身体が戻ってきたようです。入れ墨のほうは、まるで羽がそのまま背中に焼き付けられているようだが、身体の深部まで深くまじりあっているようだというのが治療師たちの感想で、果たして羽が再度生えてくるのかは、ケルやニーシャにはわからないとのことでした。

ラファエルはセブンたちに会いに行きましたが、エレナは電話を用意してもらい、親友のサラ、妹のベス、祖父母、姪のギルドハンター見習いのイブ、そしてイヴから電話を渡してもらって父親にも生存の連絡をして、眠りに落ちました。

ラファエルはドミトリと会って、状況の報告を受けます。キャリエーンがラファエルに会わせないと自分を八つ裂きにするとか脅して困りました。これから1年間のバカンスに行きますからと冗談を飛ばしてから、イライジャやアシュタッドの領土では虫害があり、ネハの領土では干ばつ、ミカエラはまったく動きがなく何も聞こえてこない、ファヴァシのニュースもないということです。

エレナが眠りにつく前に頼んだ母の手製のキルトを倉庫から持ち出して寝室で休みエレナにかけると、ラファエルはどうしても我慢できなくなってしまい、エレナと心で呼びかけます。もぞもぞと反応するエレナにかがみこむと、ラファエルの光る羽からしずくのようなものがエレナに落ちます。しずくが落ちた場所から光が広がり、いったんは落ち着きをみせていた輝きがまた戻り、エレナは暗闇で光り輝くようになっていました。本人は喜ばないだろうと思いながら、溶岩の池の始末をしに現地に向かいます。

現場ではイリウムと飛行隊、そしてリージョンたちが監視作業を行っていました。現場に変化はないようですが、その場に近づくとラファエルを神のように思わせようとする強く冷たい力を感じます。ラファエルに近づいてきたプライマリーはなぜか色が抜けてしまっています。理由を聞くとセカンドが蘇ってくるから、ということですが、その問題は脇に置いておき、ラファエルはひとりで深い穴の底まで飛んで降りていき、見逃したものはないのか確認していきますが、途中でスプーンが見つかったのと、面白いことにエレナのマナーブックが見つかり、服のポケットにしまいます。あとは元の形が残らないほどの状態になってしまっています。

エレナと初めて愛を交わした場所、セブンたちが家と読んでいた邸宅がこのような状態になってしまいなくなった場所を惜しんでいますが、ここはネハの助言で、タワーは大天使の居所としてみすぼらしい、大天使にふさわしい邸宅を持っていなければ見下す大天使もいるだろうと言われ、建てることにしたそうです。建設にはラファエルも協力していましたが、ある日ドミトリが連れてきたヴァンパイアで恥ずかしそうにしている人物が勤勉に熱心に働いている様子に気が付き、ラファエルは彼に邸宅の装飾を任せることにします。モンゴメリは1年かけて各地の大天使の居所をめぐり、ふさわしい品を集めてきた彼は邸宅を完成させました。数年後まで、各地からモンゴメリがふさわしい場所に逸品を置きなおす悪い癖にラファエルは気が付かないでいましたが、その後はできるだけトラブルのないように返却してまわっていたようです。今度作るとしたらエレナと二人で作りあげる邸宅だ、と考えたラファエルはエレナにコンタクトしますが、眠そうなエレナは自分たちの寝室は整えるけれど、それ以上のことはやらないといってまた眠ってしまいました。ラファエルは再び寝室以外の部分はモンゴメリに任せようと考えています。ラファエルは天使の炎をぶつけて穴を埋め、土煙が舞いますが、その場はイリウムが引き受けてくれ、ラファエルは帰宅します。

エレナは夢を見ていました。マルガリーテと一緒に庭で楽しくガーデニングをしています。紫色の髪に鮮やかな緑色の目をした天使の美しい女性が庭のブランコを揺らしている様子に気が付いて、近づいていくと大天使カッサンドラでした。彼女は眠りについているようですが、意識のごく一部分がエレナの夢に現れてしまっているようです。二人は並んでブランコを揺らします。私に会いに来たのですか?とエレナが聞くと、誰かに会いにくるためだけに私は現れないわ。いえ、私は・・・。言いよどむカッサンドラ。エレナは気になっていたことを聞きます。私は飛べるようになるのでしょうか。カサンドラは答えません。

夢から目覚めたエレナはかすかな羽音を耳にします。私からの贈物です。というカサンドラの声と共に、白いフクロウが2羽バルコニーに面したドアから現れます。そして野生のコンドルが羽ばたいて離れていく様子を観察しました。

コンドルがバルコニーにいるとラファエルにコンタクトを取ると、彼は距離のある場所にいるようです。ピューマたちもまた呼ばれて帰るところだと報告を受けていて、おそらくイライジャがラファエルの帰還をさっして引き揚げさせたのだろうといい、彼自身も戻るところだといっていました。エレナはまずベッドの横に用意してあった歩行器に手を伸ばして立ち上がろうとします。足が萎えて身体を支えてくれませんが、なんとか歩行器を押しながら化粧室へ行き、座り込んでシャワーを浴び、用意しておいたタオルで拭いて、根性でベッドに戻ります。なんとか座って衣類を着て、治療師に起きたことを連絡して、居間のソファにどっかりと座ります。

控えめなノックが聞こえてきて、イリウムが顔をのぞかせました。彼はエレナほどではないものの、かなりげっそりとやつれています。ひとしきり無事を喜んだあと、彼はエレナの特製の弓を出してくれて彼女を喜ばせてくれます。空中からの効果的な武器ということだったのに、果たして役に立つのかと思って暗い気持ちが頭をよぎりますが、彼がわざわざ危険を冒して武器のために屋敷に戻ったのかと気が付き、エレナは激怒します。そのエレナに、ラファエルからの宝剣とアオドハンの絵も回収したとあっさり口にしたので、ラファエルがあなたを殺すわと言いますが、イリウムはまったく懲りていません。

ラファエルが部屋に戻ると、部屋にはエレナがいて、膝の上ではディーコンが届けてくれた彼女の古いナイフを磨いています。そばに青い羽が落ちていて、イリウムが来ていたことに気付きます。イリウムが命を危険にさらしてまで大切なものを取りに行ったことをエレナが言うと、怒ってもいいことはないだろう、あいつは自分が本当に決めたことを実行するときには限りなく頑固になるし、子供頃からぜったいに謝ったりしなかった。

ジェイソンの報告では中国のある村では人の気配がなくなってしまった村にまた村人が戻ってきたけれど、動きは農夫のような動作なのに、目つきだけが異様で、リボーンなのではないかという疑いを報告していました。リージャンによって汚染された中国の大地に大天使が触れると、ファヴァシのようにおかしくなってしまうため、大天使は着地することができません。ブラッドラストはいったん収まっているものの、そろそろ大天使が着陸しないということに気付きつつあり、不穏な気配が漂っているそうです。ジェイソンはエレナに中国で見つけたというお土産を持ってきてくれました。ダーツが収められた仕掛け箱でした。ジェイソンがあけかたを教えてくれようとしましたが、自分で見つけるからとエレナは真剣に取り組み始めます。彼が帰ったあとで、彼が私のことを好きでいてくれているなんて知らなかったとエレナがラファエルに言っていました。

ラファエルがコンタクトしていたのはアトランタからだったようで、以前よりも二人が心話できる距離が格段に広がっているようです。あちらでは道に外れてしまった天使を処分して、ドミトリと同じくらいの年のバンパイアにあとを任せてきたとのこと。ラファエルはエレナの心の底にある悲しみを感じ取ります。同じく彼の中にはエレナを自分のもとに取り戻したことを実感したい、印をつけたいという気持ちが沸き上がってきました。このことがばれたら、ケルに生皮をはがれるな、と言いながらエレナを抱き上げたラファエルは寝室に向かい、愛を交わしました。二人のお互いを思う強い気持ちは稲妻のような光をお互いに生み出し、最後には白熱の光が生まれ、部屋の外にも広がりました。

突然の事態にドミトリやヴェノムはすぐに部屋に向かおうと飛び出していき、街の天使たちはすぐに近くの着地できる場所へと舞い降りました。プライマリーがドミトリを引き止めました。アクエアリの心を読んだり、起こっている出来事を観たりすることはできないのですが、彼は以前よりも強くなっていました。彼らは家に戻ったのだ、というと、ドミトリはバルコニーに戻り、彼らの部屋がある階を立ち入り禁止にして、呼ばれるまでは立ち入らないようにという指示を出していました。

愛をかわしたあと、エレナの肌からあふれてくる輝きは少し落ち着いたようですが、エレナのこめかみには、ラファエルの青い竜の入れ墨とは鏡に映したような柄の緑色の竜が現れ、ラファエルが触れると消えていました。アクエアリは鏡、というリージョンの不思議な言葉が意味を成してきました。ラファエルの力をエレナは自由に使える、そんな意味なのではないかと二人は考えていました。そしてエレナの削げ落ちていた肉も戻り、蛹が成熟する前に孵ってしまった状態だった身体がバランスを整えようとする力を感じたようです。たち歩けるようになっていました。ラファエルが背中に手を回すと、以前と違って入れ墨部分の凹凸が消えているようです。エレナは一緒にみたい、といって化粧室の鏡の前に立って、鏡をみつめると、入れ墨は消えていましたが、ラファエルの手が触れた場所は入れ墨の色が読みあがってまた消えていき、翼に触られたような感覚は昔のままのようです。

エレナは、空を飛べるようになるという特別の体験ができ、今度は蛹から孵ってどんな新しい体験ができるだろうと前向きな発言をしましたが、飛べることを当たり前と思わず、純粋な喜びを感じていたエレナの心を知るラファエルは、エレナをこんなに悲しませるキャスケードを殺せるならバラバラにしてやりたいと心の中で思っていました。

寝室から出たエレナがバルコニーに引き寄せられていくと、そこにはプライマリーが待っていました。彼女が土いじりをしたいと頼むと、喜んで彼らの住居へ招いてくれます。住居に着くと、2階の入り口に飛んで入れないという現実に直面して悲しみが蘇りますが、リージョンたちが3つの閂でガッチリと閉ざされていた1階にある秘密の扉を開けて、招き入れてくれます。すぐに靴や靴下を脱いで土と緑を感じるエレナ。木から実をもいで、リージョンたちと分け合い、彼らが温室がなくなってしまったからエレナに。とたくさん用意してくれた苗と土をプレゼントされて、感激していました。

ひとしきり土いじりをして、タワーに戻ってくると、受付のスハニが迎えてくれました。受付に置いてある素晴らしい楓の盆栽はスハニの趣味のようです。本当に素敵なんだけれどもらってもいいかしらというと、喜んでと快諾してくれますが、エレナが触れた途端、数百歳の楓は根と枝をグングンと伸ばし、テーブルも突き抜け、机にあったパソコンも突き落とし、巨大に成長してしまいました。あまりの出来事に唖然とする二人。エレナはラファエルに近くにいる?と心でコンタクトするとすぐに行く、といって1階に降り立ちます。彼をみたとたん、スハニは卒倒してしまい、ラファエルが椅子に運んで休ませてあげていました。エレナはスハニに悪いことをしてしまったと言いますが、ラファエルはあえて軽い調子で、ラファエルに抱いて運んでもらったといったら、彼女に借りを返した以上のことを施したっていうことになるんではいかと言って、エレナに傲慢な男、と言われていました。

新しく発現した能力がどう機能するのか確認しようと言って、再びリージョンの居所に二人で訪れます。リージョンは2本の木を持ってきてくれます。最初触れても何も起こりませんが、ラファエルに受付でどんなことを考えていて、あの現象が起こったのかと聞かれて、答えると、再び木がすごい速度で成長してたわわに実をならせ、ラファエルの背を越えるほど大きく育っていきました。リージョンは、過去に同じことは一度もなかった、とコメントしていました。

タワーに戻るとベスから連絡が来ます。サラのところへ寄ってからそちらに行くわと返事をして、アシュウィニに足を頼むと、連絡が来るのを待ってたの、いまタワーの玄関で待ってると言われます。フープピアスにサングラスでキメているアシュウィニに、カジュアルすぎたかしらというと、ダッシュボードにはラッピングされた箱があり、エレナの金髪に映える紫のサングラスに銀のフープイヤリングが収まっていました。

ギルド本部に着くと、同僚や親友のサラから大歓迎を受けました。ランサムはエレナをぎゅっと抱きしめると、耳元でそっと「ニーリーが妊娠した、いま5か月なんだ」と教えてくれます。お祝いに私からミニチュアのギルドハンター服を贈るから、他の人からもらわないでね!とエレナは大喜びです。サラは静かにエレナのことを抱きしめていました。ベスにはサラが連絡したようで、沢山お料理するのに時間が出来てかえってよかったわと言われたから、ベスの家にはお腹を空かせていかないととサラが言っていました。

何人かのハンターがベスの家に送ってくれ、まずベスが涙を浮かべて彼女の胸に飛び込んできます。そして他のハンターたちも食事に招かれ、家の中に入っていくと、裏庭では姪のマギーと彼女の曾祖母のマジダと曾祖父ジャン・パティストがシャボン玉遊びをしていました。エレナに気が付いたマギーは、駆け寄ってきます。エレナが抱き上げて、そのまま曽祖父母のところにいき、再会の挨拶をしました。マギーがエリーおばさんの羽はどこに行ってしまったの?と聞いてきますが、羽は無くしてしまったの、とこみあげてくるものを抑えながら答えるエレナ。その夜、羽について触れてきたのはマギーだけで、ほかの皆は再会の喜びをエレナの失ったものよりも優先させていました。

帰宅したエレナは、ラファエルと話しています。翼を失った現実と折り合いをつけ前進しようと思いつつ、怒りが沸き起こり、ラファエルへの愛と怒りで爆発しそうです。ラファエルともうエンジェルダンスも踊れない、一緒に空中散歩もできない、あなたと対等の関係を築けていると思っていたのに。少なくともハンターだったときは普通の人間よりは強靭な肉体を持っていたし、翼を亡くした今は過去にないくらい弱い自分になってしまってた気がすると。ラファエルは、アンブロシアを与えた時は、それが何かもわかっていなくて、もしヴァンパイアとして生まれ変わらせたら、エレナは激怒するだろうなと思っていた。翼があるかどうかは問題ではなかった。エレナがハンターだったときも、人間らしさや心を大事だと思っていなかったあの頃なら、将来に何が得られるのかということはまったく想像もできず、いつでも殺そうと思えば殺せたのだ。力という点では大天使とエレナでは平等であったこともないしこれからもない。エレナに求めていたのは、力ではなく心だ。ラファエルはエレナをエンジェルダンスに連れ出します。一瞬抵抗するエレナでしたが、太平洋上で彼との時間を満喫していました。

体調が戻ってきたエレナは、ギルドに連絡して、アクティブハンターとして再登録しました。3度目の逃げ出したヴァンパイアを連れ戻す仕事を成功させ、天使のところに連れて行くと、素敵な庭があり、どうぞ見て行ってくださいと言われて景色を楽しんでいると、エレナの視界の隅にビルからタオルのようなものがはためくのが見えました。小さな子供が手すりにぶら下がって今にも落ちそうです。視界の範囲に天使はおらず、叫び声も聞こえないほどの距離があります。どこにいるかわからないラファエルに心話を送ると、彼女自身も急いで近くに寄ります。

彼女の身体は蛹になる前は不死者としては赤ん坊程度の年齢でしたが、蛹から孵ったあとは天使の成人程度の300歳位の肉体に変化しているようです。彼女は子供からそれほど遠くない距離の位置から慎重に角度や飛び込むスピードなどを考え、子供の両手が滑った瞬間になんとか抱え込むことに成功しますが、そのまま地面へと墜落していきました。

ラファエルはエレナからそれほど遠くない場所にいましたが、恐怖ではない、絶望めいたエレナからのコンタクトに、翼を炎にかえて駆け付けると、エレナが子供を抱えて落ちていくところでした。全力で追いつこうとしますが、地面までの距離が短く、ダメージなしに受け止めるのが難しいかもしれないと考えます。エレナ自身は自分自身がボロボロに傷ついても不死の力が強くなってきていて、ラファエルの治癒のパワーもあるので、彼女が大怪我をしても抱え込んでいれば、子供の命だけは守れるだろうと見込んでいることをラファエルが見て取ります。

間に合わないかと思った瞬間に、二人が消えました。ラファエルが見上げるとエレナが子供を抱えて浮かんでいました。ラファエルが浮かんでいると指摘するまで、彼女は気が付いていませんでした。子供もショックのあまり悲鳴を上げるのも忘れています。ラファエルに言われて振り返った彼女は、目にしたものが信じられない気持ちでまた正面を向いてしまいます。はやく着地するんだとラファエルが言っても、どうやったらいいのかわからないというエレナの肩を押して強引に着地させるラファエル。母親がセス!と子供の名前を叫びながら建物から飛び出してきました。子供はラファエルに手を伸ばして抱っこされます。母親はありがとうございます、ありがとうございますとしきりに感謝しますが、涙を腕で拭くと、子供を助けてくれたのが誰だったのかようやく気が付き、青ざめます。子供を彼女に返し、家に帰します。近くでフラッシュが光り、彼らはパパラッチに撮られたようです。エレナの背中には光の翼が現れていました。すぐに消えてしまうのかもしれず、エレナは注意深く飛び立ちラファエルが墜落に備えながら彼女の下を飛んでタワーに戻りました。

彼女の翼をみたドミトリが壁を燃やすなよ、と言ってきたので、今日はどんなことも私の気分を悪くしたりしないと言って、強引に引き寄せると思い切りキスをしました。ドミトリはものすごく驚き、このことは二度と、永遠に話題にしない、と言っていましたが、笑っているオナーに引きずられていきました。

ケルとニーシャのいる医務室に行くと、彼らはすぐに観察を始めますが、また入れ墨が戻ってきて、光の翼は消えてしまいました。どうやったらまた翼が戻るのか、ラファエルは子供の天使が翼の使い方を覚えるのは崖を突き落とした時だと言い、治療師二人の反対には耳を貸さず、二人は手すりのないバルコニーに向かいます。リージョンたちがラファエルに呼び寄せられたようで、たくさん飛来してきています。エレナの背中を押し、即座に彼女を下で待ち受けるラファエル。エレナの背中にはまた翼が現れていました。リージョンたちの声がエレナの頭に響いてきます。こんなこと見たことない、蛹は小さすぎなかった、新しいエレナ、私たちは幸せだ。

キャリエーンが「あなたの伴侶の翼のことを私に秘密にする必要はなかったんではないかしら」と瞳に怒りをたたえてテレビ電話で連絡をしてきます。ラファエルはエレナの新しい翼がどのように機能するのか、弱みをみせるわけにはいかなかったので、お知らせできる状態ではないと判断していたのですが、子供の救出のためにやむを得ず公の場で披露することになってしまいましたと説明すると、理解を示して少し気持ちが収まったようです。エレナが画面に出ていき、翼をご覧になりますか?と申し出ると、キャリエーンは見たいといい、エレナの光と稲妻で出来た翼にしばらく言葉を失っていましたが、エレナにあなたは変化の生き物なのね。息子よ、あなたは愛するものに絶対に飽きるということはないでしょうね。といっていました。

ラファエルは、彼がいない間にキャリエーンが変わってくれていた中国の見回りの任務を果たさないとならないと言います。エレナも連れていく、キャリエーンが帰還祝いのパーティを開くだろうから、ドレスも荷物につめるようにというと、わかったといいますが、衣装についてはすでにモンゴメリがぬかりなく手配してくれているようです。なくしたものに気持ちがむいて、すごいお屋敷だったのにとエレナが言うと、新しい屋敷には武器展示室を作ったらいいとラファエルが半分冗談で口にすると、エレナがぱっと顔を輝かせて、小さい部屋に壁にラックを取り付けてもらえたら嬉しいと言いますが、すぐに私のことをからかっていただけでしょう、ちょっと贅沢すぎるし、と気落ちした様子です。ラファエルは冗談だったけれど、絶対に素晴らしい展示室を作ろう、彼女専用の小さい弓はスポットライトもつけようと約束してくれます。

ラファエルはエレナはキャスケードのパワーの波を乗り切ったが、自分自身はわからないと感じています。日に日に力が貯めらていき、自分が冷やされていきますが、エレナといるときは冷たさが和らぐのです。ただしリージャンを倒すためには、キャスケードの冷たい力がすべて必要で、そこまで冷え切ってしまったら自分は人間の心を持ち続けていられないのではという危惧をひそかに抱いていました。

まずアマナットに向かった二人。エレナは鹿児島までは飛行機で、そこからアマナットまではヘリコプターで向かいます。ヘリコプターの横を飛んでいたラファエルが着地したヘリコプターに近寄ってくると、帰るヘリコプターに乗る予定のヴァンパイアも一緒にいました。彼女はドミトリよりも年上の匂いがして、黒いレザーを着ています。明らかにキャリエーンの乙女たちとは異なる雰囲気です。ヘリコプターを操縦してくれたのも、キャリエーンの昔からの部下で、高齢のヴァンパイアでした。彼も彼女も、キャリエーンの保護がなくても生き抜けるだろうと言われて、眠る前に領土の外の任務に就かされたそうです。ただし、次のときにはぜったいにおそばを離れたりしないと忠誠心を示していました。ラファエルによれば、彼女は最初は乙女としてそば仕えに上がったものの、すぐに他の能力のほうが認められて、いまでは一番お気に入りの暗殺者だそうです。チェレスタはそばまでくるとラファエルに正式な挨拶をしますが、ダダをこねた時に池に放り込んだ相手にひざまずかなくてもよい、というと、たまにベビーシッターを務めただけの相手をご記憶かどうかわからなかったのでと言って唇をあげます。エレナと挨拶すると、おこがましいですが、私が初めての弓の射ち方を教えた野性的な小さな男の子がハンターを伴侶に選んだと知って嬉しかったですよ。とエレナに笑いかけ、ヘリコプターに乗り込んでいました。彼女はキャリエーンの命でずっとカリセムノンの宮廷でスパイとして活動していたために、エレナとは会ったことがなかったようです。

キャリエーンのところに向かう途中で、エレナは翼を顕在化させますが、元の色を取り戻したようです。キャリエーンはラファエルを温かく迎え、またエレナに対しても初めてラファエル同様に額にキスをして、私の息子の心よ、あなたが私の領土にふたたび戦士としており嬉しい限りですと言って、エレナの短い髪に指を通し、毛先の羽をみていました。一緒に歩いているときに、エレナが意識した屋敷の壁にはう緑の葡萄に控えめに花が咲いてしまいました。この事態をみたキャリエーンは、固まってしまいます。こんなに若いものがこのような力を得るとは・・・年を経て力を得るというのは意味があることなのです、年齢を重ねることで我慢が身につき、性質に落ち着きもうまれて、判断も確かなものになるだろうから。といわれ、ラファエルは口に出すことのできない自身のなかで吹き荒れる残酷で貪欲なエネルギーを憂えています。

キャリエーンの饗応の食事は屋外にセットされました。ラファエルとキャリエーンが主に話し、エレナは聞き役に回っています。リージャンの領土からアマナットの岸に避難してきたらしき天使がいたようです。キャリエーンは居所から遠い場所で話を聞いたようですが、その天使は最初近くの村で村人が消えていたことには気が付いていなかったようですが、自分の屋敷の使用人が次々と、それも忠誠心にあつい使用人が突然散歩にでかけて姿を消したことで、調査を始めたそうです。1つめの村では、やりかけの農作業、台所ではやけこげたポット、不自然な状態で人気がなかったそうです。5つ目の村でようやく人がいましたが、彼らは動いてはいるものの、その動きに目的がないようで、なにも成し遂げられていなかったそうです。キャリエーンはリージャンの配下のものは一人も受け入れないことを決断したそうです。

前回の戦争時に、リージャンは配下のもののエネルギーを吸い取って自分のエネルギーにしていましたが、おそらく村人たちのエネルギーを浅い眠りのなかでも吸収しているのではないか、姿が残っていた村人たちは、吸収できる以上のエネルギーだったので残されたのではないかという仮説をエレナが口にして、ラファエルたちも同意していました。戦争は近いかもしれない。カッサンドラの予言がエレナの頭に響きました。「悪夢の女神、影のない生霊、死の領土から蘇る」

飛行機で中国上空まで来た二人は、上空で降ろしてもらい、パトロールを始めました。報告にあったように無人の村を見つけます。埃が厚くつもっていて、足跡が残され、人気がありません。エレナが降りて調査してくるから待っていてと言いますが、ラファエルは来る戦いで彼女の毒にどの程度効果があるのか知らなくてはと言って二人で降り立ち、調査をします。さらに進むと、老人のような動きをするものをエレナがみつけ、そちらに向かうと、骨に皮がのっているだけで、身体を引きずるように動き回る人々がいました。エレナは彼に二度と頼まないと思っていたことですが、彼らの頭をラファエルにのぞいてもらうと、人格や過去の記憶などがすべて粉々になってしまっていることがわかります。そしてエレナはその中に子供がいないことに気が付き、青ざめます。ラファエルの予想では、おそらくエネルギーを抽出される段階で、弱い子供は生き残れなかったのだろうということでしたが、エレナは、ルールブックに何が書いてあろうとも、嘘をついても、書き換えても、どんな努力が必要でも、絶対にリージャンをこの世から消し去らなくてはと改めて決意を口にしていました。飛行機に戻ると、エレナの手に黒いシミのようなものが出来ていて、ラファエルはすぐに白い炎で消そうとしますが、どの程度の影響があるのか、飛行機が着陸するまでは様子を見ましょうといい、ラファエルは歯をくいしばり同意します。着陸するまでにシミは消えてしまいました。

翌日違う地域へのパトロールでは、ブラッドラストに陥ったヴァンパイアたちを発見し、二人で協力して抹殺します。さらにファヴァシの宮殿に向かいます。前日の調査でラファエルのリージャンの毒への免疫力と、エレナ自身で消化できなければ彼が力を分け与えてあげられることがわかったので、彼らが宮殿に降り立つとファヴァシの宮廷人たちは息をのんでいました。そこにドミトリが中国へ派遣したメンバーの次席ガブリルが現れて、ラファエルに膝をついて挨拶していました。

ガブリルは、ファヴァシの部下で少し前までしっかりと領土を維持していたヴァンパイアのリヴァの様子がおかしいと報告します。具体的にはいつからだと聞くと、オートバイで領土内の見回りにでかけて、戻ってからだということです。彼に会いに行くと、椅子にすわって頭を抱えるような様子でした。エレナは9000歳という年齢とおそらく将来ドミトリも得ていくだろう年齢に伴って発達した彼のパワーに驚き、どうして彼がファヴァシのセコンドじゃないのか不思議というと、パワーだけが地位を決めるわけではないが、彼の実力は確かで、サードだと認めます。

ラファエルの問いに応えて、リヴァはオートバイでの見回りの途中で、数時間の記憶がなく、気が付いた時には巡回ルートからはずれた場所でオートバイと共に地面に倒れていたといいます。そして上着を脱ぐと、体には黒いうごめきがあり、リヴァの身体の内側を食い荒らしているようです。私の任務はガブリルへ引き継がせてください、と伝えます。ラファエルは彼の炎でリヴァを治療できるかもしれないが、これはヴァンパイア向けのエネルギーではないから、黒いうごめきだけでなく彼自身も殺してしまうかもしれないとリヴァに警告しますが、やってください、と頼まれます。ラファエルはリヴァをかけさせ、炎を手に呼び出しますが、エレナがラファエルの肩に手を置き、それでは力が強すぎると心話で警告したので、ごく小さな炎に調節しなおし、治療を始めます。本人は意識を失いましたが、命はとりとめたようです。リヴァの記憶を奪わなければ、といったラファエルにエレナは強く反対します。あなたが間違った方向へと進む一歩になってしまう、と。自分の領土内だけでなく、違う大天使の部下にまでそのルールが適用されるのかと抵抗しますが、リヴァの記憶を奪わないことで起こるかもしれない問題に対処していくことにラファエルも同意します。

数日たつと、5人のヴァンパイアが同じような症状に罹患しました。強力なリーダーに感染させることで指揮系統を混乱させ、力を奪うというリージャン側の狙いと、被害者が一度は姿を消すことから、リージャンか部下がどこかの場所へ連れて行って感染させているのではないか、ということとヴァンパイアにだけ感染させられるのではないかということがわかってきました。

この問題はすぐに他の大天使にも共有され、ネハが空中パトロールを担当するので、ラファエルは治療に専念してほしいと申し出があります。感染の危険から、高位のヴァンパイアは各地に戻らせ、天使たちが中国での指揮をとるように体制を変更しました。ラファエルが不在の間のパトロールの任務期間も務めて、明日帰国というタイミングでミカエラからテレビ電話で連絡がありました。ミカエラがパトロールを代わって欲しいとカリセムノンに頼んでいたので、キャリエーンへのとりなしの頼みかと思いきや、彼女は以前のことがあるから状態を見てもらえないと信じてもらえないと思うと言って、服をはだけると、彼女は妊娠していて臨月のふくらみを見せていました。彼女に事情はわかったのでキャリエーンに伝えるとラファエルは返事をします。彼女は忠実な部下たちに守られて、自分の領土で出産の予定ですが、ケルだけは出産に立ち会ってもらうと話していました。診察したケルがお腹の子は男の子だと教えてくれたそうです。

エレナが遠慮してくれたので、ラファエルはキャリエーンと親子水入らずの時間を持ちます。キャリエーンはこんなに天使の女性たちが妊娠しやすくなっているというのは、世界の理が大きく変わろうとしていることの兆しかもしれないと話します。エレナがナディエルの肖像画をみてみたいと話していましたとラファエルが言うと、私の一番気に入っている肖像画を見せましょうと言って、彼女の私室に招いてくれます。

彼女の私室は美しく、特にキャリエーンの人生を絵パネルにしたなかに赤ちゃんのラファエルをみつけてエレナは魅入っていました。そしてラファエルが以前なかったというパネルが増えていて、そこには墜落するナディエルと身体がよじれた天使の姿がありました。これを飾る母の気持ちがわからないとラファエルが思ったようですが、エレナはこじれた親子関係しか結べていない私に聞かれてもと返していました。寝室はキャリエーンとナディエルの剣が交差する鋼の装飾に守られていて、朝晩目にすることができる場所に大きなナディエルの肖像画が飾られていました。彼は上半身裸で、膝に剣をのせて座り込み、右手には布を持っていて、画面にはみえない画家の横にいる特別な誰かにむけて微笑みかけています。エレナはこの微笑みの先にはキャリエーンがいたとはっきりわかります。

この絵はハミングバードが彼らのところに滞在したことがあり、刀の手入れをしていたナディエルが何かのことで笑ったんでしょうけれど、彼女が私たちのまわりでスケッチしていることは珍しいことではなかったので、描かれているとは思っていなかった。1年後くらいに完成品が送られてきて驚いたとキャリエーンは話していました。ラファエルは色は母から、顔立ちや骨格は父から受け継いでいるようで、ナディエルはラファエルにそっくりでした。

肖像画の彼の目にはいたずらっぽさが潜んでいました。キャリエーンが初めて会ったのは彼が大天使になったばかりのころだったけれど、彼に最初に惹かれたのは市場で聞こえてきた明かるくほがらかな笑い声だったと話してくれます。彼は私が少女だったころのことを思い出させてくれて、大天使の前に一人の女性であると感じさせてくれたそうです。

キャリエーンは昔のラファエルの様子も披露してくれ、一度はナディエルに預けたあとにラファエルが坊主になって戻ってきたことがあったそうです。ナディエルは彼女の怒りを恐れて前日には花かごを送ってきたそうですが、いたずらなラファエルはタールのなかに突っ込んでしまったようで、翼はなんとか綺麗にできたものの髪は切るしかなかったようです。エレナが赤ちゃんの時の肖像画からいたずらっ子を想像しようと思っても難しいわと笑うと、キャリエーンはウキウキと見せてあげる!とエレナを別の部屋に案内してくれます。そこは彼のたくさんの肖像画だけが飾られた部屋でした。赤ちゃんが裸で父親に抱かれた絵、ほとんど裸で家をよじ登る幼児、ズボンを身に着けて翼を羽ばたかせようとする少年、竪琴を演奏する母親の横で座る若者、ほかにも沢山あります。彼はじっと座っていられなかったから、いたずらの合間に一瞬座っている瞬間にハミングバードはスケッチをたくさんかいて絵を完成させていたのよ、と教えてくれました。写真を撮ってもいいですかとエレナが言うと、ラファエルが君の父親に連絡をとって倉庫の品で記念館を作るなら、写真を撮ってもいいと言います。エレナが目を細めつつ同意していました。
ラファエルは家族3人が描かれた肖像画の前で立ち止まります。父と子が並び、前には腰かけたキャリエーンが座っていますが、彼女は微笑みながら彼らを見上げていて、彼らはなにかで笑っていたようです。

そういえばシャリーン(ハミングバード)を訪ねたと話したかしら? あなたがモロッコでの任務に彼女を就けたのはよいことだったと思うとキャリエーンは認めてくれます。

NYに戻った二人。中国は奇妙なほどに落ち着いているようですが、不穏な気配をガブリルが報告してきています。アシュタッドが大天使に緊急のミーティングを招集してきました。海が割れて波が人の顔にみえています。古の大天使アイガイオンが眠りから覚めつつあるようです。アシュタッドは彼が目覚めれば、自分との領土争いという事態もあるため、かたい反応でした。

アレクサンダーが眠る少し前に眠った人物で、おおむねキャリエーンやアレクサンダーたちと同じくらいの年齢だそうですが、前回の目覚めの際はまわりの側近たちも年齢により減っていたので、割合短い期間で再び眠りについてしまったそうです。ラファエルは彼が目覚めることで身近な人物二人が決定的に影響を受けるだろうと考え、嬉しく思っていないようです。覚醒が現実のものとなってから、本人たちに伝えようと考えているようです。

キャリエーンがアマナットから荷物を送ってきたようですが、そのなかに見せてもらわなかったナディエルの肖像画が含まれていたようです。ラファエルは母が父の良いところばかりを思い出しているように感じていて、思い出のなかの父は、目を輝かせてよく笑う人だったけれど大天使としてはあまりにも成長しきらない少年のような気質で、ラファエルは素晴らしい冒険に連れ出してもらったけれど翼や足を折ることもあったそうです。彼が彼女を愛していたのは間違いなかったけれど、彼女の心を大切にはしていなかったかもしれない。狂気の兆候が見られるようになって、治療師は彼に眠りにつくことを強くすすめ、両親たちはそのことについて議論していて、キャリエーンは眠りにつくことを懇願していたが、彼は拒絶した。結果、彼女は彼を処刑せざるを得なくなった。キャリエーンは永遠に癒えない傷を負っていると思うとラファエルは話していました。

エレナはギルド本部で同僚たちと寛いでいます。NYのマスコミでは連日エレナの新しい翼について報道されていて、デマルコが記事を読み上げていて、エレナは嫌がっています。そこにいたランソンに妻のニーリーから子供が生まれると連絡があります。うろたえる彼を同僚みんなで送っていき、サラもあとから病院に駆けつけてきて、赤ちゃんが生まれるとみんなで祝福します。

ラファエルとエレナがシャワールームから出てくると、窓の外が奇妙に明るく光っています。バルコニーから出てみると、海のほうからオーロラのような美しい光が打ち寄せてきます。白いフクロウ2羽は光のほうへ向かっていきます。ラファエルはキャスケードのパワーかと身構えますが、エレナは力は感じるけれど嫌な気はしないといって観察しています。ドミトリがリフュージのジェイミーに連絡をとり、このような現象の記録がないか確認してもらうと、今回の現象を説明した現象に付属する予言が見つかりました。「光と夢、血と予言、二つは混じりあうことはない」世界中で美しい現象が巻き起こっているようで、各地の大天使のセカンドからドミトリに連絡が入ってきます。

ラファエルはおそらくこのような現象は、古の天使が眠りから覚める兆し、そしてこの大々的な規模からして天使ではありえない、大天使だろう。そして予言からすると目覚めるのはリージャンとカサンドラだけではないかもしれない。10人の大天使に1人の古大天使がなんとか乗り切れたのは、キャリエーンに領土欲がなく、ファヴァシが中国へ収まったことで領土争いが勃発しなかったため。一般的な大天使が近くにいれば領土欲がぶつかり合う。大天使が争うということは、ウラムと自分が争ったことを思い出せばわかるかもしれないが、周囲に大きな破壊的な影響を及ぼす。それが何人もの古大天使となると、どんな戦争が勃発することになるのか、大変なことになる。

その後NYでは津波が発生し、市民に犠牲が発生し、他の地域でも天変地異で犠牲が出ています。NYでは、アントニクスという大天使が「なぜ眠りを妨げたのだ」と目覚めて、ラファエルを攻撃してきますが、キャスケードのパワーであなたの眠っている場所が影響を受けてしまっているのですと伝えるとひとまず矛先を治め、話し合いの姿勢を見せてくれます。アシュタッドのいる南方の海では大天使アイガイオンがやはり、眠りを妨げられたことに腹を立てて目覚めます、アレクサンダーの領土ではザナヤが目覚めたようです。ザナヤはナイルの女王と呼ばれていた美しく危険な女性で一時期はアレクサンダーに愛されていたようです。そしてリージャンもネハの領土ちかくで目覚めたようです。

ネハはニヴリーティと共に国境近くの砦に立っていました。ニヴリーティとは不穏な現状をふまえ休戦状態になっているようです。そばにたつニヴリーティをみて、自分が失ったものをおもい、心も魂も痛く、今こそ眠りにつく時ではないかと感じていますが、リージャンの目覚めた今、休むわけにはいきません。

ネハが見つめる間に、黒い霧がみるみると中国を覆っていきます。霧にふれた鳥は落下していました。羽が切れていますが、死んだ理由が毒なのか、物理的な怪我なのかははっきりしません。霧からは距離を取るようにとネハは命令します。

新たに目覚めた古の大天使たちはテレビ会談の技術進歩に戸惑いを見せていましたが、火急の事態でもあり、カードレたちとすぐに顔合わせにはいります。NYに現れたアントニクス、インドに現れたザナヤ、そして南方の海に現れたアイガイオン。アイガイオンの顔を見てすぐにラファエルはエレナに心話でイリウムのそばに行って欲しいと頼みます。ハミングバードのそばにも彼女が信頼できる人物を配置してほしいとモロッコに連絡をしていました。次にイリウムに連絡をとると飛行隊との訓練を終え、軽食を食べたら休むつもりだということでしたが、ラファエルが別室に呼び出します。大天使たちのミーティングを終えるとすぐに部屋へ向かい、イリウムに単刀直入に告げます。君の父親が眠りから目覚めた。

イリウムは大きなショックをうけた表情でしたが、すぐに母に知らせなくてはと言い出します。彼を心配したエレナは、セブンやラファエルたちのためにいつでも飛行機が待機しているのだから、今回は利用しなさい。自分も一緒に行くからと説得します。すぐに二人とも荷造りをすませ、飛行機に乗り込みます。

イリウムはずっと無言でしたが、エレナが彼をそっとしておいて、投資しているビジネス帝国の報告書をみていると、イリウムが何を見ているの?と寄ってきました。イリウムが自分から父親のことを話し始めます。ラファエルの両親が愛し合っていたことは誰でも知っていることだけれど、自分の両親については疑問符がついていた。天使の赤ん坊は本当に大切に扱われるのに、彼の父親がイリウムに関心を示さなかったので、種が違うのではないかという視線がハミングバードに注がれたようです。とりわけ、彼ら二人を置いて彼が眠ってしまったときに。イリウムに剣を教えてくれたのも、名誉ある行動をとるように教えてくれたのも、ラファエルだったそうです。エレナは昔のハミングバードを知りませんが、彼によれば、子供のように無邪気で、イリウムやアオドハンと一緒にお菓子を作ったり、キャンバスにペンキを投げつけてどんな絵ができるのかみてみたり、夜の図書室でキャンドルで本を読んでみたり。いまの母は昔の彼女の幻のような状態だそうです。父に、二度と母を傷つけさせたりしない。イリウムは固く誓っていました。

大天使たちの会議では、古の大天使たちがリージャンがどれほどのパワーを持っていたとしても大したことがないだろうと、映像をみせても納得せず、アントニクスが私がいって成敗してくるといって聞きません。それなら記録を取らせてもらってもよいでしょうかと彼に提案すると、了解したので、他の大天使たちはネハの中国との国境際の砦に移動し、映像を通して状況を見守ることにします。

エレナがイリウムと共に飛行機から降り立つと、キラキラ光を反射する翼をもつ天使が飛んでくるのが見えました。ぎすぎすした雰囲気だった親友二人ですが、イリウムがなんでリフュージでの任務を放り出してこんなところにいるんだというと、お前と共にいるためだよとアオドハンが言い、翼を強く自分の身体にひきつけ間違っても触らないようにしているイリウムを固く抱きしめます。

そこにハミングバードが現れます。息子に会った喜びで顔を輝かせながら、イリウム、そして息子同様のアオドハンにキスをして、さらにはエレナから頬にキスをして挨拶をします。アオドハンは悲惨な事件の後にもハミングバードとは長い時間絵を一緒に描いていて、引きこもっていた彼が訪問を拒絶することのない唯一の人物だったそうです。一体どういうわけでみんながやってきたのと聞かれ、イリウムが父上が眠りから覚めましたと話すと、この世界から母子二人以外の人物がいなくなってしまったような静けさがその場を支配しました。

あなたたちはなんて立派に大きくなったことでしょう。イリウム、あなたには謝らなくてはならないわね、私があなたの面倒を見なくてはならない時に、あなたに私の面倒をみさせていたわ。とハミングバードがいうと、イリウムは謝ることなどなにもありません。と言っていました。

エレナに短剣の投げ方を教えてほしい、とハミングバードがいうのでびっくりして理由を聞くと、アイガイオンが現れたら何のつもりで顔をみせたんだと胸に剣を突き刺してやりたいからというので、エレナは喜んで教えるようです。いままでエレナが会った時のハミングバードはイリウムたちがまだ幼い子供として認識しているような発言があったり、脆さが感じられましたが、この会話ではイリウムたちが大人であることを認めた雰囲気が感じられ、どこか違っていました。どうやら昔の彼女が戻ってきつつあるようです。

アントニクスは左腕に装置をつけて、高く舞い上がると、黒い霧の中に突入しますが、数秒経つと動きがおかしくなり、ネハが彼は亡くなった、と口にします。ラファエルが他の大天使はそこに足止めして飛びたち、アントニクスを受け止めます。彼の翼は根元からどんどん黒さが広がっていっています。ラファエルはワイルドファイアを彼の身体に送り込み、毒を駆逐しようとしますが、瞳や羽に広がった黒さは一度は引くのですがまた戻ってきてしまいます。

地面に着くと、ネハが用意していたカーペットに彼を横たえ更にラファエルが彼の身体に炎を注入しますが、何度も黒さが戻ってきてしまいます。ネハが霧の中に何が見えたのですか、と聞くと、アントニクスは何もかもが暗闇で、人の気配はなかった。あるのは死だけだったと話します。ラファエルがこれ以上やっては、毒もあなたも殺してしまう、と言いますが、どうせ死ぬのだ。とアントニクスは言います。

最後にタイタスがアントニクスの肩をつかみ、ラファエルはアントニクスの右手を、ネハが左手を握り、他の大天使たちに囲まれてアントニクスは亡くなりました。このことでラファエルの治癒の能力では、進化したリージャンの毒を浄化しきれないということがわかったということと、その上でアントニクスの死に際して真心と勇気を示した大天使がカードレの中にいたということがわかりました。

亡骸にどんな毒が残され、大天使以外の存在に害をなしてはいけないということで、遺体を燃やそうかという提案がありますが、ラファエルがナージルが閉じ込められていた氷の世界のことを思い出し、そこに深い穴を掘り、大天使以外は近づけないようにしたらよいのではないかと提案します。ラファエル一人で運ぶつもりでしたが、遺体をカーペットで巻き、更に3重にプラスチックの板で梱包した上にロープを巻き、大天使たち全員で遺体を運んでいきました。道中、かわるがわるロープを担い、休みなく進みましたが、大天使たちはほぼ無言でした。ラファエルは心のなかで中国で仕事をしていたガブリレのことを思いました。おそらく黒い霧のなかで生きているとは思われず、目立つタイプではなかったが、忠誠心の厚い天使だったと。

掘った穴にゆっくりと遺体をおろし、大天使それぞれがたむけの品を入れます。ラファエルの頭に蛹に響き渡ったカッサンドラの声の記憶が蘇ります。

未来は整った。道筋は選ばれた。死がやってくる。ある死、炎の子供。悪夢の女神。影のない幽霊。死の領土に蘇る。銀の翼。蒼の翼。人の心。壊れた夢。雷。墓。私には終わりが見える。

カッサンドラが予言したのはアントニクスの墓だったのだろうか。それとも? 何人の大天使が今回の終わりを生きて迎えられるだろうか。

ハミングバードに、ラファエルが大変な状況にあることは私の耳に入っているし、こんな時にはセブンや伴侶は彼のそばにいてあげなくては。私は大丈夫だから帰りなさいと言って3人は送り出されます。

ラファエルはエレナの乗った飛行機を出迎えに行くと、あなたの胸に飛び込むから準備してというエレナの嬉しい心話が聞こえてきたので、飛び立ちます。ところが飛行場につむじ風が巻き起こり駐機された飛行機が壁に飛ばされ、エレナ達がのった飛行機にも大型の竜巻が迫ってきました。

ラファエルは制御不能ですと心話でコンタクトしてきたパイロットのドゥーガルに動力を切れと指示をだします。彼は自分の体内の力だけでは足りないと感じ、リージャンたちが長い間眠りについていたという力の源から力を引き出すことにします。彼らが目覚めたときには、ラファエルになかなか声が届かず、海の底から力を届けられないと話していたあの場所です。プライマリーに力を引き出させてくれるよう呼びかけ、リージャンたちが応えてくれます。力を得たラファエルは、力を紡いでネットのようなもので飛行機をくるみ、キャスケードが生み出した強力なつむじ風が飛行機にぶつかってきたときにも、持ちこたえさせ、航空管制等にいた女性の天使アンドレアに連絡して誘導位置を確認させ、ドゥーガルは飛行機の機首を下げ、機体の高度を下げていき、無事飛行機を着陸させます。降りないようにと警告したラファエルはまた来襲したつむじ風も警戒していました。もし飛行機自体を破壊されてしまったら、セブンの二人は生き残れるがエレナとドゥーガルは生き残れない。必死で壁を作り、しのぎました。そして風が消え去ると、笑顔のエレナがラファエルの腕に飛び込んできました。アンドレアの対応が落ち着いて素晴らしかったと思ったエレナがなぜ管制塔勤務なのか、タワーにスカウトしないのか聞いてみると、彼女は数千歳で100年ほどヴァカンスを取らせてほしいという申し出があって、たまたま彼女は管制塔にいたくて居たようです。残念ながら彼女には休みを切り上げてもらわないととラファエルは考えているようでした。

ラファエルたちが部屋に戻ってくると、プライマリーがバルコニーで待っていました。力を貸してくれたことの礼をいうと、今度のキャスケードはいままでにない巨大さなので、力の根源からのすべての力を捧げますと言われます。エレナが、時が来たらあなたたち自身が選んで、この世界で生きるのかそれともまた眠りに戻るのか決めるのではないのと聞きますが、頭の中に聞こえてくる声の雰囲気ではリージョンたちは決意していてひるむ様子はありません。またキャスケードは世界にある力を再調整する働きなのだ、と誰かに言われたことがあると話してくれます。世界に眠っているものも含め、大天使たちが増えすぎていることの反動なのだと。

ネハから緊急の連絡が入り、中国側の領土のへりにある国境警備の戦士たちの村あたりの一部の霧が晴れたとのこと。偵察の機械を飛ばしてみると、村には人の気配がありませんでした。人も、妻も、犬も。他の国との国境あたりでも霧が晴れた部分があり、港近くの町も、普段は出入りする船員やレストラン、市場など人が絶えることのない町のはずなのに、人が見当たりません。市場の中に機械が入っていくと、ここには死体がたくさんありました。それも身体を丸めたり、壁のほうに手を伸ばしていたり。一緒に映像をみていたエレナが何かに気付きます。そこをもう一度見せて。その女性の身体には赤ん坊を心臓のそばで抱いていられる前抱っこ紐がつけられているのに、赤ん坊がいないわ。死体のなかには子供がいないため、どうやらリージャンは赤ん坊や子供を集めているようです。

大天使たちが通信を切ったあと、エレナは壁を蹴り、天使の世界のルールによって、他人の領土に口出ししてはならないため、できることは何もないという鬱憤でイライラしています。ラファエルも腹立たしく思っているものの、今のところは静観するしかないと言います。この苛立ちをスパーリングで解消しようと思いついたラファエルが突然上半身の服を脱ぎ、ブーツも脱ぎ捨て、下着一枚になります。こんな高価な家具がある場所でやるの?とエレナが言うと、一つ家具などを壊したら1枚脱ぐルールにしよう、と言います。エレナはナイフを取り出し、ラファエルに投げつけますが、本人にはなかなか当たらず、カリセムノンの顔が映っていたデバイスに突き刺さってしまいます。ラファエルが突進してくると、気が付けば止まった彼から2mくらいのところに立っていました。もう一度、ラファエルがかかってくると、今度は無意識に天井からぶら下がっていることに気が付きます。

ヴィヴィクが練習を記録できるようにしてくれている訓練室で再度どのような条件でこのようなことが起こるのか、ラファエルとエレナはスパーリングを再開しますが、7回は大天使よりも早いスピードでエレナが動けるということが立証されました。映像を確認してみると、この新しい能力はテレポートではなく、目にも止まらないスピードで動いているということのようです。タワーの上級メンバーたちもエレナが一休みしたあとに、再度実際にみてディスカッションしようということになりましたが、ドミトリが、一度ラファエルがエレナが崩れ落ちたときに驚くようなスピードで移動したことがあったと指摘すると、アシュウィニがあなたたちは鏡なのだから不思議はない、と口にします。本人もどうしてそのようなことを口にしたかはわからないようです。エレナはラファエルにはリージャンと戦うときに最後の力の一滴まで彼に必要なのだから、彼の力を奪いたくないというと、ラファエルは君に必要な力ならば、どれだけ取ってくれても構わないのだと言います。これだけの大天使が活動している今、戦争は避けられないというのがラファエルの考えです。

カサンドラの眠る溶岩の池に変化が現れたようです。どうやら彼女も目覚めが近いようです。ラファエルとエレナが見に行くと、フクロウがやってきて、大西洋に注意せよ、死が訪れるとカサンドラの声を運んできます。

大天使たちの会合で、ラファエルが中国に派遣していたあなたたちの部下とは連絡が取れましたか、と問いかけます。ラファエルは400歳の忠実な部下を失い、それまでの訓練と、知識も失われました。それぞれの大天使たちが供出した人材が、一気に殺害されたことは、宣戦布告と同じ意味ではないでしょうかと提起します。アレクサンダーも同意します。これはもはや戦争だ。

プライマリー経由でドミトリからラファエルへ連絡が入りました。リージャンがいよいよ海に現れたようです。エレナと共に現地に向かうと、潜水艦が現れ、やがてリージャンが隠していたと思われる強大な軍勢も姿を現し、「ひざまずけ! 私は死の女神だ!」とリージャンが宣言します。

ラファエルの部下たちは各地から集まっても10分の1以下の人員でしょう。リージョンたちが水中に戻り、イリウムが噴水ポンプの先をもち、火柱に散水しているようです。ドミトリはキャリエーンに連絡をとり、さらにすべての大天使たちもこちらへ向かうはずでしたが、ネハの領土で目が離せない事態が起こったようです。

ネハの領土では子供たちが国境線を乗り越えてきました。最初逃げだしてこれたのかと喜びますが、彼らに牙があることに気が付くと、みな暗澹とした気分になりました。天使の最大の禁忌のひとつが子供殺しです。病気に感染しているため、領土にいれてしまえば感染を広げてしまうために、天使たちは涙を流しながら彼らを殺していきますが、心も傷つけられています。キャリエーンもネハをサポートしているようです。

他の地域でも侵入してきた子供の感染者の対応などに追われて、大天使たちがNYにすぐに駆けつけることができません。

事前に準備していた仕掛けで、軍の侵攻に抵抗します。ナージル発案の街に張られた天使を捕獲、捕殺するネット、ガレン発案のクレーン車に吊り下げられた石ハンマー。ラファエルがリージャンを挑発すると幽体になっているリージャンが姿を現し、ラファエルはワイルドファイアで攻撃をします。彼女の周りにいた忠実な天使たちが自分の身を犠牲にしても彼女をかばいつづけ、なかなか致命傷を負わせることができませんが、肩と足に傷を負わせることはできたようです。ラファエルはさらにワイルドファイアを薄く広く広げて攻撃すると、リージャンの力にかくされていた大軍団にぶつかり、現れます。ラファエルの部下たちは善戦していますが、あまりにも敵の人数が多く、少しずつ犠牲も出始めています。

エレナからあなたの後ろにイジー(イザク)がいるのとコンタクトがあります。エレナのお気に入りの若い天使ですが、アッシュから手持ちミサイルの射ち方を習っていたようで、重さにふらつきながら、敵機を迎え撃つべく出てきました。ラファエルがベテランの飛行隊の天使を2人、彼の護衛に着けると、敵戦士からの攻撃は護衛が薙ぎ払い、ミサイルは敵機を吹き飛ばしていました。

いったん負傷者を回収する、とリージャンとラファエルは申し合わせ、引き揚げてくるとリージョンの一人が黒い血を流して倒れていてプライマリーがそばにいます。777人の不死身の彼らはラファエルの大きなアドバンテージですが、このリージョンは天使の戦士の誰かに腕を噛まれたことで感染してしまったようで、プライマリーが首を切り落とし、ラファエルが感染を広げないために遺体を燃やしていました。ラファエルの中にはワイルドファイアの力がもう残されていないようですが、エレナが力添えすると、エレナ自身からワイルドファイアがでてすべての遺体を燃やすことができました。

他の者への感染に気が付き、負傷者の集められた場所に駆けつけると、片足がなくなったアンドレアが暴れていました。彼女の腕には噛み跡があります。エレナからもらったワイルドファイアで癒すと、黒さが抜け、落ち着きます。感染の過程を黒いものが私の体内の幸せを食いつぶしていくようなかんじでしたと言っていました。治療師補佐のエリックが優しくアンドレアを介助してあげると、アンドレアはエリックのフードを外されて左目周辺以外は火傷の疵が広がっている顎を指でそっとあげて、何か言うと、エリックはみるみる真っ赤になっていました。エレナはかばおうかと一瞬足を踏み出しかけますが、ラファエルが彼女は残酷な天使ではないからと引き止め、どうやらアンドレアがエリックにアプローチしたらしいと気が付いたエレナがラファエルをその場から引き離します。

ラファエルがもうワイルドファイアが十分なスピードで回復してきていない、とエレナに話します。ラファエルはエレナがいなかったら、世界を救うために戦おうとは思わなかっただろう。君を愛したことに後悔はない。エレナは、キャスケードの傀儡になるくらいなら、ラファエルと墜落するほうがいい。私は私自身のままでいられないなら死ぬ方がいいわ。ラファエルはわかった、といって彼女を翼で包みます。

作戦室にラファエル、エレナのほかにタワーの上級メンバーとギルドディレクターのサラ、ヴィヴィク、そしてガードのひとりイザクとリージャンの姪スーインが集まります。ヴィヴィクが集めた戦闘場面の分析をしたところ、天使の戦士の動きがどことなくぎこちなくみえて奇妙だったと報告します。その映像を大きな画面で再生したところ、ジェイソンがこの人物は司書で、戦い方を知らない人物だと言います。また他の天使の女性は2か月前に子供を産んだばかりでリフュージに赤ん坊といるはずでした。リージャンの軍隊の中に他の大天使の配下の天使がいることに気付きます。おそらくカリセムノンとリージャンは初めから共謀していて、天使をリボーンとして再生するような病を感染させることに成功したのではないかという意見が出ます。先ほどの司書があり得ないほどのスキルで人を殺す様子が映像で確認できると、グループの隊長もしくは将軍のイクシィの動作をなぞる能力を持ち合わせているのだろうか、はたして体調を殺せば天使のリボーンも動けなくなるのだろうか、と検討します。そしてドミトリの指定した映像を画面で再生すると、翼が半分ほど切り落とされたり、血みどろだったり、血が黒くなった天使なども動いていて、こういった顔なじみの天使たちはすでに本当には生きていないようです。ヴィヴィクが集めた画像データで、リージャンが集めたパワーで相当美しく変化しているのが確認できました。

胸がむかついて吐きにいったエレナが部屋に戻ると、イリウムが何かをスーインに話しかけていて、彼女も慰めを受け入れているようでした。ジャンピエールとアッシュはドミトリに呼ばれてシャドウチームとの打ち合わせに出ていき、アオドハンはスーインと共に飛び立っていきました。

ラファエルはリフュージから護衛にあたっていた戦闘隊長のガレンを呼び寄せ、NYで総員体制をとる総力戦とします。子供たちやジェサミーなどはリフュージの領土内で一番守りの固い地域で、元はファヴァシの領土の地域に避難させたようです。ファヴァシの部下たちはリージャンに敵対心を抱いているため、裏切られる可能性は低いだろうという見込みもあるようです。またケルはミカエラの赤ちゃんの世話で彼女の領土に行っているとのことでしたが、ラファエルの予想では、おそらく赤ん坊を連れて一人でリフュージへ向かっているだろう。戦闘員が同行しておらず僻地を通れば注意をひかないだろうし、彼は見た目よりは力があり、過去にも赤ん坊を救っているのだからとエレナに説明していました。

エレナが何人を失ったの、と尋ねるとラファエルは6%だと答えます。ラファエルは拳を握りしめていて、彼にとって数字だけではない存在が失われたことを思い、エレナはそっと拳の上に手を置きます。戦闘1日目の夜が更けていきました。

エレナは明日のために部屋に下がって休みましたが、起きてくるととイライジャが伴侶のハンナと軍隊の半分を連れてNYに来てくれたため、ラファエルと出迎えました。軍の半数は感染しているリボーンへの対応のために置いてきたということでした。イライジャは、カリセムノンは自分の領土との交易に関わっているスタッフを利用して感染を領土に拡大させ、さらには送ってきたコンテナを開けてみると、そこには感染したリボーンが満載され、100人以上のヴァンパイアが犠牲になり、その地域は汚染されてしまったと話していました。ラファエルにもそのやり口を警告してくれます。

イライジャたちの軍勢はセントラルパークで設営してもらい、ラファエルの軍勢と共に補給もそちらで行うことになっています。

ヴィヴィクの報告では、エネルギーをすいとって抜け殻にした人の山が3つほどできていて、リージャンはかなり回復してきているようです。戦闘のダメージで町中に配置したドローンや隠しカメラなどの一部が破壊されてしまい、一部視覚が出来てしまったので、ドローンの眼の代わりに働いてくれる人物と、耳の代わりになってくれる人物の助けが欲しいとヴィヴィクが申し出ると、イライジャの部下が、負傷者に担当させれば彼らのやりがいにもなりますと言ってくれ、応援を頼みます。イライジャたちもヴィヴィクの能力を認めてくれたようです。

またもやリージャンの軍勢が攻めてきて、ラファエルは各上級メンバーを各所へ配置します。エレナはともにいましたが、視線をあげたさきでアオドハンが攻撃を受け、危うい様子をみつけ、駆け付けようとすると気が付けばアオドハンのそばにいて、リージャンの敵将の一人にミサイルを撃ち込みます。その後はアオドハンに護衛の負担をかけないためにすぐに現場を離脱しますが、ラファエルに自分の無事を伝えます。心配はしたけれどエレナの介入がなければアオドハンを失っていただろうと言っていました。

ラファエル自身はリージャンと対峙しています。エレナは手持ちのミサイルランチャーを武器庫からもちだし、ラファエルのもとへ飛んでいこうとしますが、今度はアオドハンのときのようにうまくいきません。どうしてうまくいかないの!というとカサンドラの声が聞こえてきて、相手が大天使と天使の違いなのと助言されます。そこでエレナはイリウムに焦点を合わせると、次の瞬間には驚いた顔のイリウムのそばにいることができ、リージャンにむかってミサイルを撃ち込みます。何発か打ち込むと打ち込んだ部分が非実態化し、そこにラファエルの炎を注ぐとリージャンに深刻なダメージを与えらたようです。

マンハッタンにカリセムノンから送られてきたコンテナがあったようですが、アシュウィニの助言により、ドミトリは中心部から離れた地域に置いてあるようです。いまではアシュウィニの第3の眼を軽く考えるメンバーはいません。事態が落ち着いたら、生存者が中にいないことを確認して、焼き払うとラファエルが言っていました。

リージャンは人間や天使から失ったエネルギーを補給でき、そのパワーでリボーンたちは動けますが、人数的に劣るラファエル側は次第に疲労の色が濃くなってきました。セブンたちは不眠不休で戦っています。

またもやリージャンが攻めてきました。リージャンの毒に耐性のないイライジャは彼女の将軍たちを引き受けてくれ、リージャンのことはラファエルが迎え撃ちます。彼女からの鈍色の毒による攻撃がよけきれず当たりますが、彼もワイルドファイアを彼女にあてることに成功します。ただ前回ほど体内のワイルドファイアが毒を中和する速度が十分でなく、彼女を攻撃するための力が足りません。エレナが隠れていたビルから現れますが、リージャンはラファエルを片付けたらゆっくりと彼女を始末するのを愉しむと言って重要視していません。ラファエルはリージャンに刀で切りつけようとすると、リージャンはあえて刃を自分の身体に突き刺してみせます。エレナは体内に貯められていたワイルドファイアのエネルギーを最大まで高め、ラファエルに近づくと足首に触れ、ラファエルは刃を通してワイルドファイアをリージャンに送り込みました。二人の力を合わせたワイルドファイアは緑色の輝きを放っていました。リージャンは粉々になりましたが、止めを刺す前に幽体になり、また逃げてしまいました。もうラファエル側には彼女を倒すトリックは残されていません。

エレナはセントラルパークの戦士たちの話を聞いて回り、形勢が厳しいことを正直に話します。ラファエルの部下たちはラファエルの心であるエレナと話すことはラファエルと話すのと同じこととみなすようで、気持ちが満たされるようです。エレナは妹のイブに電話して無事を確認し、祖母のマジダにも連絡します。マジダからは娘と、孫娘二人を失ってしまい、あなたを失うことになったら耐えられるかわからないと言われていました。アンドレアスは、我々は死ぬまでラファエルのために戦います。名誉の死のほうがリージャンの奴隷になるよりましだ、とエレナに言ってきますが、他の戦士たちもエレナも同じ意見でした。もしも死ぬのが運命なら、ラファエル。別の世界で会いましょう。

ラファエルがリージャンと戦っていると、ベージュ色の光がリージャンを攻撃します。ミカエラのエンジェルファイヤーはリージャンに効果があるようです。リージャンは死の能力を発達させていますが、ミカエラは新生児を生んだばかりで、生命力にまつわる力が今だけ強まっているのかもしれないということです。赤ん坊は治療師のケルに託したと話していました。

ミカエラからは隠していましたが、ラファエルの身体はリージャンからの攻撃の毒を中和しきれなかったようです。寝室で二人きりになったとたん、エレナは彼の鎧を脱がして状態を確認しますが、腕とあばらに黒いシミが広がり、彼の身体を内側から喰い始めているようです。これ以上広がると攻撃のための力が残らないため、切り落とすしかない、切り落とした肢体は再生できるとラファエルは話します。

バルコニーにプライマリーが現れ、今こそその時です、と話します。エレナは私たちに力を渡してしまったら、あなたたちはどうなってしまうのと聞くと、彼らにはわからないそうです。エレナがあなたたちの住処を帰ってくるまでずっと守っているからと話すと、帰ってくると約束できませんとプライマリーは言います。ラファエルは私たちのリージョンはお前たちだけだと話します。ラファエルとエレナの手をつながせると、そこにプライマリーも加わり、リージョンたちが海の底で預かっていた力がそそがれます。そのとき毎朝エレナに挨拶に立ち寄ってくれた彼の声、飛びたい気分のときに飛ぶことに付き合ってくれた彼の声、少しずつ知るようになってきたリージョン一人ひとりの存在が感じ取られ、彼らの持っている知識も受け渡そうとしてくれています。ラファエルはアクエアリ、エレナはアクエアリ、アクエアリは鏡、アクエアリは導線、わたしたちはアクエアリを愛してる。長い年月を経て、初めて愛を知ったような驚きのニュアンスを最後に、リージョンたちは灰になってしまい、二度と蘇りませんでした。古の力を注がれたラファエルとエレナは、ワイルドファイアが身体に満ちて、光り輝いています。ラファエルの怪我と汚染も治ったようです。エレナはいつの間にか大切に思うようになっていたリージョンたちを失って大きなショックを受けています。リージョンたちは戦士であり、彼らが自身を捧げてくれたことは大変な名誉だとラファエルは話しますが、彼もまた喪失感に耐えているようです。

国境にタイタスが現れたと報告があります。カリセムノンとの死闘で怪我をしていますが、生き残ったのはタイタスでした。カリセムノンは間違いなくエンジェルファイヤーで死んだそうです。アシュタッドとアイガイオン、アレクサンダーとザナヤ、ネハとキャリエーンも到着し、NYに大天使と古の大天使が集合しました。ラファエルはリージャンがどのようにエネルギーを補給しているのか他の大天使たちにも見せ、怪我をして助けが見込めず彼女の軍勢に攫われそうになったら、自分の身の処し方を考えてくれと言います。リージャンが大天使の力を吸い取ったら大変なことになる。

カサンドラの気配がして、エレナが一人でバルコニーに出ると、未来をかえてくれてありがとうと言われます。これからどうなるのですかと聞くと、死も生もたくさん満ちていて、運命の糸は絡まり過ぎて混沌しか見えないそうです。

最終決戦が始まりました。大天使たちはキャスケード後に現れた能力を存分に発揮して、風や水、氷などの強大な力でリボーンやリージャン側の軍勢を押し戻しますが、無尽蔵にわいてくる軍隊に対していつまでも続けられるわけではありません。リージャンは自分の身体を隠してザナヤの後ろに現れると首に噛みつき、彼女のエネルギーを吸い取りました。ザナヤは最初は抵抗していましたが、だんだんと力がなくなり、彼女の起こしていた竜巻も消えてしまい、リージャンが離すと身体は力なく落下していきましたが、アレクサンダーが激突寸前で抱きとめていました。ミカエラが狙われたときはガレンがそばにいて彼の反撃でいったん引き下がりました。アシュタッドが狙われたときには、彼は他の将軍たちと戦っていて深手を負っていてリージャンを振り払いきれず、噛みつかせてしまいます。ラファエルは申し訳ない、友よ、といってアシュタッドもろともワイルドファイアをリージャンに向かって投げつけます。リージャンは多少ダメージを受けたようです。アシュタッドは地面に激突し、全身は粉々ですが、ワイルドファイアが汚染をある程度浄化したようで、目には正気が残っていて生き残れそうです。ラファエルはそばにいたジェイソンとイライジャにアシュタッドの護衛を頼み、中へ運ばせます。再度ミカエラが狙われ、イリウムがかばいますが、彼の翼に毒がかかってしまいました。大天使と違い、毒に耐え切れず、落下します。リージャンで手一杯のラファエルはエレナにイリウムがやられたと連絡します。駆けつけたエレナは、イリウムに頼まれて、毒のかかった翼を切り落とします。そしてこのままでは身体のバランスが悪く、戦えないからといわれて、健康な翼も切り落としてほしいと言われて辛い思いをしますが、イリウムは新しい翼はしばらくはふわふわかもしれないけれど、ちゃんとはえてくるし、以前よりももっと美しいはずだと冗談めかして言ってくれ、エレナは切断します。ミカエラがリージャンにやられ、墜落してしまいました。エレナが駆けつけると、虫の息です。私の息子・・・ケルに・・・あなたのことを残していくつもりはなかったと・・・伝えて・・・ケルを養い親にしてほしいということ、息子のことを思っていることを伝えて欲しいと言っていました。その後大天使らしい決意にみちた表情でエレナに自分の手を胸に当てさせると、リージャンの毒に汚染された心臓付近にエンジェルファイアーをあて、汚染を焼き切ります。ジェイソンがエレナの手伝いに来てくれ、首がほとんど切り取られ、身体の胴体がなくなっているミカエラの身体を救護室に運んでくれます。出産で限りなく弱まっている彼女が耐え抜けるのでしょうか。キャリエーンは戦闘中にエネルギーが切れたようで、ラファエルにいったん引き下がると連絡があります。

リージャンは倒れる気配がなく、ラファエルのなかのワイルドファイアのエネルギーがなくなり、エレナに補給してもらわなくてはならないと考えている中、リージャンからの攻撃をうけ続けているところにエレナがそばに駆けつけます。カッサンドラと共にクインという大天使と、ファヴァシが眠りから覚めて現れ、ラファエル側からの攻撃に加わってくれます。アレクサンダーが放ったエンジェルファイアーが、リージャンをそれてエレナに向かい、ラファエルが彼女をかばってその身に受けます。

ラファエルは不思議と痛みを感じず、さらにワイルドファイアへと身体で転化され、リージャンからの次の攻撃を持ちこたえることができました。そのことでエレナはプライマリーたちが言っていたアクエアリは鏡、導線だと言っていた意味がピンときます! ラファエルが他の大天使たちに「私たちに向かってエンジェルファイアーを放て!」と命令すると、即座にアレクサンダーが、そして他の大天使たちも次々にラファエル達に向かってエネルギーを放ち、二人に大天使たちのエネルギーが猛チャージされます。ラファエルがどんどんとリージャンに攻撃しますが、エレナのなかで緑色のボールのようなエネルギーとなり、エレナがリージャンに放つと、ヒットした場所に葉っぱが生まれ、そこからリージャンは再生することができません。リージャンは滅しました。すぐにイクシィはイリウムの攻撃によって滅せられ、大天使を失った軍団たちは力がなくなり、ゆるやかに追い出されていきました。NYの街の70%ほどは破壊されてしまいましたが、勝利したのです。

カッサンドラにラファエルが眠りに戻らずにいてくださいますかと尋ねますが、このまま目覚めていたらわたしは狂気に陥ってしまうから、また眠りに戻ります。あと1000年は起こさないでください。カッサンドラを悲しい目でみつめ、抱きしめるクインという大天使は眠らずにいてくれるようです。

ザナヤはまったく反応がなく、アシュタッドとミカエラはどれだけの時間がかかるかはわからないかもしれないけれど、大天使のため意識を取り戻す可能性はあるようです。アシュタッドとミカエラ、ザナヤには長い眠りのための安全な場所を自分で用意することができないので、カッサンドラが一緒に連れて行ってくれると言っていました。ファバシには領土をカリセムノンの領土だったところを治めてもらいたいという話をしていたところ、意識を失ってしまいます。カッサンドラがこれは彼女の戦いだから無理に起こしたけれど、まだ癒しが十分でないので、眠る必要があるから彼女もいっしょにと言ってくれ、アイガイオンが彼女を抱き上げカッサンドラのところへ連れていきました。イライジャも大きな負傷をしていてアンシャラに入っているためハンナが自分の領土に連れ帰るといっていますが、時間をかければ回復できるようです。

カッサンドラが眠りについた印なのか、外では美しい景色が広がっていたところ、一転かき曇り、急に雨が降り始めると、スーインが空へ浮かび、大天使へと進化しました。この進化やタイミングは誰にも操作できるものではないそうです。

中国はまだリージャンの毒が残っていてラファエルとエレナがパトロールしたのちでないと他の大天使たちは入らないでほしいという警告をラファエルはカードレにしています。NYはラファエル、南アフリカはタイタス、インドはネハ。カリセムノンとミカエラ、アシュタッド、リージャンの領土が空いていますが、南太平洋のアシュタッドの領土はクインという大天使が治めてくれることになり、ミカエラの東ヨーロッパの領土はほかの大天使が準備できるまではアイガイオンが治めるということになります。そしてカリセムノンの領土はスーインに治めてほしいとカードレは要請しますが、きっぱりと私の血族が汚した土地なのだから、私が中国を清めます、といって譲らず、カードレたちも承認します。

アレキサンダーやその他のカードレたちはすぐに領土に戻りましたが、スーインだけは数日残っていました。彼女自身は建築家としての能力しかなく、戦闘はできないため、大天使としてやっていけるのだろうか、そしてリージャンの血族という自責の念も強くあります。エレナはいまは復興のとき、新しい建物やものを生み出すときに建築家以上に必要とされている人はいないといって彼女を励まします。ラファエルは、しばらくは自分の部下をサポートにつけるので、時間をかけて信頼できる人物をみつけたらよいと助言します。ラファエルはアオドハンをサポートに送り出すことにします。彼自身の翼を羽ばたかせてほしいというラファエルの気持ちのようです。またNYを離れるアイガイオンから、自分の息子が君の部下として働いているようだが、自分のもとに引き取りたいという申し出があります。ラファエルは精一杯礼儀正しく、本人が行きたいといえば、彼の誓いに彼を縛ったりしませんと返事をします。アイガイオンがイリウムの元へ向かうと、エレナはなんでイリウムを手放すのとラファエルを責めますが、申し出を直接断ればアイガイオンとの間に恨みが生まれるが、本人が断るなら家族の問題だからしこりが残らないのだ、と説明していました。イリウムを残して帰っていくアイガイオンの表情は彼らから確認できませんでしたが、イリウムは笑顔で二人に手を振ってきていました。

ランソンとニーリーの息子は今回の勝利を祝してミドルネームをビクトールと名付けたそうです。そしてミカエラは彼女の父の名前をとってガブリエルと名付けたとライカーが教えてくれました。ガブリエルは身分を伏せられ、ケルに育てられるということでした。

キャスケードのパワーが過ぎ去った今、エレナの翼は出現しなくなってしまいました。ラファエルは何かをめちゃくちゃにしたい気分になっていましたが、彼女の背中の変化に気が付きます。洋服の下には、こぶのようなものが出来ていて、すぐにニーシャを呼ぶと来てくれます。じっくり診察してくれたあとで、ラファエルの予想を裏付けてくれます。一度引き受けた大天使たちの膨大なエネルギーがすべてを再生してくれて、エレナの翼も元から再生してくれているのだろうと。そして不思議なことに、蛹で過ごしたことで、エレナは天使としての年齢が進んだようで、いまでは妊娠可能な身体になっていると言われていました。エレナがすぐには子供のことが受け入れられない様子なので、ラファエルは子供が欲しくないのかとがっかりしている様子でしたが、亡くなってしまった二人の姉妹のこと、そして自分のことを成長するまで見守るほどには愛してくれなかった両親のことを考えると、子供をもつ自信がないとエレナは話していました。子供をもつ心の準備ができていないこと、気になる?とエレナが聞くと、構わない。私たちには永遠の時間があるのだからとラファエルは答えていました。

戦争が収束し、街全体が修復に向かっているため、ラファエル達は自分たちの邸宅の再建は後回しにしてタワーで暮らしているようです。リージョンたちのビルは無事に残っていて、エレナは約束を守り、そこを保っていこうと考えているようです。ラファエルと二人でビルを訪れ、リージョンたちがエレナの温室用に用意してくれていた苗をそこに植えようと作業しながら、リージョンたちのこと、彼らの年月、無垢さ、知識のことを考えて苗にふれていると、エレナの力であっという間に種は芽や葉を伸ばし、血の色の花が咲き乱れ、まわりは緑があふれていました。緑の上に横たわり、ラファエルに抱きしめられ、キスを交わします。世界はひどく傷つき、沢山の場所で血が流れ、バンパイアたちはブラッドラストに陥りはじめ、カードレにはまた眠りに戻りたいと願っている2人の古の大天使が含まれていて、新しい大天使はまったく訓練されておらず、まったくめちゃくちゃな状態です。

エレナが、なんとか恐怖を押しのけて命をつかみ取ったわねと言うと、言葉に気を付けないと赤ちゃん寄生虫がやってくるぞ、君は欲しくないんだろうとラファエルにからかわれ、石鹸で口を洗ってあげないとと応酬しています。ラファエルの少しだけ人間味を感じさせる笑い声が、彼とキスをするエレナに感じられました。(終)

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